INORANの誕生日


「おわった!!」

叫んだのはJ。

今日は愛するINORANの誕生日、LUNA SEAのアイドルINORANだから、ライバルも一杯。

SUGIZOに至っては、張り切って『皆でパーティーやろう!』等とおっしゃる。
(俺の誕生日は覚えてさえいなかったのに…)

そこでJはINORANの為だけに曲を作る事にしたのです。

「SUGIZOなんてメじゃねーぜ」

と一人ほくそ笑むJ。

当のSUGIZOはそんな事は全然知らずに、INORANの為パーティーの幹事としてメンバーを奴隷のようにこきつかっていたのでした。

INORANはと言うと…おうちで眠りこけていらっしゃいました。
自分の誕生日なんて、欠片も覚えていないようです。

「むにゃ…J…痛い…」

どんな夢を見ているんでしょうね。
天使の様な安らかな顔で。

六時三十分頃、井上くんの家に電話が入りました。

「INORAN!!練習忘れてるの?早く来いよ!!」

それはやたらと元気なSUGIZOの声でした。
清信君の目はそれはそれはハッキリと開きました。
彼は急いでギターを抱えると家から飛ぶように出て行きました。

今日、練習あったかな。なんて勿論考えもしません。
「みんな、怒ってるかなぁ」
素直にそう思っていたのですから。

いつも練習しているスタジオにINORANが到着したのは七時頃。
恐る恐るドアを開ける。と、

パパーン!。
四人+ローディの鳴らしたクラッカーの音がスタジオに響き渡ったのです。
INORAN君は驚いてしりもちを突いてしまいました。

「大丈夫かよ、トロイなお前」

笑いながらJ君が手を差し伸べます。
後ろではSUGIZOが(良い所持ってきやがって)と噛み付きそうな目で見ています。
INORANは何が何だか判らずに、

「すぎちゃん。これなぁに?」

と聞きました。

「誕生日、おめでとうって事だよ」

ニコニコしながらSUGIZOが答えます。

「俺達、頑張って準備したんだぜ?」

と真矢。隣でRYUも頷いて、

「楽しくやろうな」

と言いました。
さすが遊びには貪欲なRYUICHI君です。

Jがケーキを運んで来ました。
皆はそれぞれのグラスにワインを入れて乾杯をしました。

J君はそっとINORANに曲の入ったテープを渡しました。

「お前の為に作ったんだ」

耳元で呟くとINORANは真っ赤になって照れてしまいました。

テープのラベルには〜Precious〜とあります。

INORANはJに何か囁きました。
Jはチョット驚いた顔をしましたが、すぐに頷いてポケットにテープを戻しました。

INORANはニコニコしています。
これで良かったんだな、とJ君は思わず納得してしまいました。
だってそれほど可愛い、笑顔だったのですもの…。


The End



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